2015年5月は北原白秋の詩をメロディに乗せた『薔薇二曲』が月のうたとして放送されています。
『薔薇二曲』
詩:北原白秋
曲:藤原道山
演奏:ハープ/朝川朋之 チェロ/古川展生 尺八/藤原道山
・・・えっ、そんな歌流れてたっけ?って感じかもしれませんけどね。世間的には。
4月からオンエアされていた曲『恋そめし』がラブリーすぎてインパクト絶大だったので、落ち着いた曲調の『薔薇二曲』は、いまいち影がうすかったんですよね。
いやでも、この曲も無数の薔薇の花々に囲まれて、なかなか幻想的な雰囲気を表現してくれてるんですよ。
薔薇が光を放つ神秘的な世界
『薔薇二曲』というタイトルなので、画面にはこれでもかとピンクの薔薇の花が映りし出されます。その美しい薔薇を引き立てるように背景はシンプル。何もない白っぽいスタジオセットなので、その存在がいっそう映えます。
そして歌声も合唱曲みたいな裏声で、さらにエコーがかかってる感じで、不思議な世界を演出します。
そして詩の内容を現代語訳するとこんな感じ。
一曲目:薔薇の木に薔薇の花が咲く。そのことには何の不思議もないんだけど。
二曲目:薔薇の花には何の不思議もないんだけど。太陽の光が当たると光が木からこぼれ落ちてくる。光がこぼれ落ちてくる。
後に北原白秋本人によって語られた解説を現代語訳するとこんな感じ。
バラにの木にバラが咲いたって何も不思議じゃないよね?
でもそれを当然だと思っちゃう人はおバカちゃん。ここはぜひ、ビックリしとこうよ!!
不思議でしょー?神秘でしょー?そう思う気持ちから、いろんな学問が生まれていくんだよ。
ちょっと言葉が古くて子どもには分かりづらいかなと思ったので超訳しちゃいました。素人の解釈ですいません。怒んないでー。
「にほんごであそぼ」の公式サイトでは、薔薇の光から「万物創生の生命的エネルギーを感じ取っている」という風にも解説されていますね。
わりと短い、表現もごく簡単な詩なんですけど、その奥には万物創生やら世界の神秘やら、とてつもなく深い意味が込められているようです。
今回主役に抜擢されたのは、てるみくん
さて今回の「にほんごであそぼ」オリジナル映像『薔薇二曲』の出演者は、5人。
作曲を担当した藤原道山さんが片隅に座り、尺八をぴーひゃらと吹いてます。さらに四代目子役のちびっ子たち。この3人はさゆき・けいと・はるとも、かな?
でも彼らは歌ったり踊ったりすることはなく、どちらかと言うと風景に溶け込んでその一部として存在しているような感じですね。
というわけで、今回主役としてクローズアップされているのが・・・じゃじゃん。
中学1年生になった、てるみくんですー。
てるみくんはダボダボのチェックのシャツに、がっちりとポマードで固めた頭。その格好からはちょっと時代の古さを感じます。ひと昔前の文学青年、みたいなイメージなんでしょうか。
そしてこの『薔薇二曲』を合唱曲のような裏声で歌いあげるわけですね。声変わり前のボーイソプラノといいましょうか。
途中から声がもうひとつ重なって二重唱みたいな感じになりますけど、映像ではてるみくん以外は歌っていないので誰の声なのかはわかりません。そのコーラスもてるみくん本人なのかもしれませんけど、女の子の声のようにも聞こえます。
さゆき・けいと・はるともじゃない(もっと年上な)ことは間違いないので、三代目子役女子「ちーむ・をとめ座」の誰かが声だけ参加しているのかもしれません。
2015年4月のうた『蜂と神さま』でさつきちゃんが金子みすゞを演じていたように、今回の2015年5月のうた『薔薇二曲』のてるみくんも、もしかしたら薔薇の光に神秘を感じた北原白秋その人。あるいは化身ということなのかな・・・?なんて思いました。
そして途中から重なる歌声は、薔薇の化身で。
実はこの歌声は、画面いっぱいに幻想的に咲き誇るピンクの薔薇から発せられているのかなぁなんて、想像しながら見ていました。
君に薔薇薔薇。
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