3月を迎えて卒業や進学、お別れのシーズンですね。
そんな季節にぴったりの新曲が、今週から「みいつけた!」に登場してます。
『グローイング アップップ』
作詞:宮藤官九郎
作曲:星野源
編曲:益田トッシュ
うた:三宅弘城、内田慈
アニメーション:稲葉卓也
歌ってるのはコッシーやスイちゃんやサボさんじゃないんです。オフロスキーでもトータス松本でもないです。
その声のどれでもないんだけど、曲の世界観にそっと寄り添うような優しい歌声。
初めて耳にした時、まずはそのことに対して「おや?」ってなりました。これはちょっと、いつもと違うぞと。
歌っているのは三宅弘城さんと、内田慈さん。
いずれも「みいつけた!」を縁の下で支え続ける演者さんたちですね。劇中ではその歌声もよく耳にしていますけど、エンディングの歌に登場するのは初めてのことになります。
3月の放送予定は以下のとおり。火曜・木曜は歌詞の字幕がついています。
2/29(月)、3/1(火)、3/2(水)、3/3(木)
3/21(月)、3/22(火)、3/23(水)、3/24(木)
(後日追記)公式サイトにて今後の放送予定が新たに発表されました。追加分は以下の通りです。
3/14(月)、3/15(火)、3/16(水)、3/17(木) 3/28(月)、3/29(火)、3/30(水)、3/31(木)
こちらは火曜放送分に歌詞がついていたのは確認しましたが、木曜は無しなのかな?
ともあれ3月は『グローイング アップップ』がいっぱい聞けますね!
卒業シーズンに贈る、成長と別れの歌
今回、2016年3月に登場した新曲のタイトルは『グローイング アップップ』。
そのなかに「グローイングアップ」=「成長」という言葉が内包されているとおり、この曲はひとりの少年の成長を歌っています。
「アップ」をもじって「アップップ」とにらめっこを絡めてしまうあたりは、クドカン流の楽しいおふざけを込めた言葉遊びという感じでしょうかね。
でもこの、いかにも幼い子どもを連想させる「アップップ」という言葉。成長と別れというちょっと切ないテーマにぽんと放り込むことで、曲全体に柔らかい雰囲気を作り出しています。
この曲に登場するのは「ぼく」と「ごはんのいす」。
おねえちゃんからのおさがりである「ごはんのいす」。食事の時はいつも一緒だったけど、「ぼく」が大きくなってしまったので、明日からは「いとこのマーくん」におさがりに出されます。だからさよなら。
その気持ちを「ぼく」と「ごはんのいす」、双方の視点からシンプルな言葉でつぶやいてるんですね。
ぼくは小さくなれないし、いすは大きくなれない。泣いたら負けだよ、笑ったら勝ちだよ、あっぷっぷ。
あーこの状況、わかるなー。という子育て中のご家庭、多いんじゃないでしょうか。
ダイニングテーブルにセットでついてる椅子って子どもには低いので、それとは別に座面の高いキッズチェアを用意して座ってる子、多いと思います。
そんでもって使う期間が短いので、だいたいお下がりをもらったり、お下がりに出したりするんですよね。
子どもが「ごはんのいす」って呼んでるのも、うんうんあるある、って感じ。
あまりにリアルな描写なので、つい、クドカンって子どもいたんだっけ?と思って調べてしまいました。
そしたら現在10歳ぐらいのお子さんがいらっしゃるみたいです。この歌詞にはまさに、ご本人の子育て中の実体験が込められてるのかもしれないですね。
語るように歌う三宅弘城さんと内田慈さん
「みいつけた!」に出てくる歌は、キャラクターソングが多いんですよね。
新しいエンディングテーマ曲が出てくるたびに、今度はそう来たかー!そういう世界観かー!そういうアーティスト持ってきたかー!!みたいな衝撃が走るのが恒例というか。
歌にしても、キャラクターそれぞれの個性を際立たせるみたいな、押しの強い歌が多いみたいな印象があります。
それが今回は、キャラクターが歌ってるという形をとってないんですね。まずそれが珍しいなぁと。
イラストアニメーションにはかろうじてコッシーの姿はありますけど、あくまでも主役は「ぼく」と「ごはんのいす」。コッシーはそのふたりを見守る脇役という感じです。
歌っている三宅弘城さんと内田慈さんにしても、ふだん演じているキャラクターの姿を感じさせないような歌い方をしています。子どもに語りかけるような、優しくて暖かい、大人の男性と女性の声です。
意識して聞けばわかるんだけどね。あーそうだね、みやけマンだ、「なんかいっす~」と同じ歌声だ。とか、このささやくような歌い方はフーフーっぽいよね、とか思います。でもその程度です。
誰が歌ってるとかそういうことは、あんまり気にならない感じ。
キャラクターを感じない分、この歌に込められた物語がストレートに伝わってきて、それがまた心に響いたりもするんです。
こういっちゃ何だけど、「みいつけた!」らしからぬ歌だなぁと思ったりもして。
「みんなのうた」とかで流れてそうな感じというか。
優しさの立役者は作曲・星野源さん
ま、結局のところこのように仕上がったのはどうしてかというと。
やっぱり、星野源の作曲を最大限に活かそうとした結果だよね、と思います。
クドカンの歌詞そのものは、どのようにでも料理できそうなんですよね。
例えばあっぷっぷというサビの歌詞のコミカルな側面を捉えて、アップテンポなメロディをつけることもできたはず。
そこにおなじみの「みいつけた!」のアクの強さをひとさじ加えれば、いつものように明るく賑やかな雰囲気になっても全然不思議じゃなかったと思います。
でもそこに来たのが星野源ですよ。星野源だよ。
このひと、優しくほっこりした切なげなメロディつけちゃったよ!!
それゆえに、聞いている人の感情にぐわゎゎわ~んと迫る、そんな曲に仕上がっちゃったわけですね。
しかもテーマが子どもの成長ということで。この曲にやられるのはどっちかっていうと、子ども自身じゃなくて親の方じゃないかなぁ。
まさにこの時期に流すことを狙って作られたかのように、卒業シーズンに聞くにはぴったりの歌。
「ぼく」と「ごはんのいす」のやりとりに、わが子の成長を重ね合わせて思わずホロリとなること間違いなしです。
ということで新たに登場した曲『グローイング アップップ』。
お別れの歌なんだけど、淋しさのなかに暖かさもあって。ちゃんと「明日からこの椅子はいとこのマーくんが使う」というオチが用意されてるのも良かったです。
しかしおねえちゃんとぼくが使って、さらにマーくんにあげられるということは。安物じゃなくてそれなりに値の張るしっかりした椅子だったんだろうなぁ。とか、ちょっと現実的なことを思ってしまいました。
うちも4歳坊主が今お下がりのベビーチェアを使ってますけどね。
もはや食べこぼしがこびりついてガビガビだし、ペンでいたずら書きしてあって取れないし、倒して遊ぶからキズだらけだし、とてもどこかへお下がりに出せるような状態じゃないです・・・。
歌のなかの「ぼく」は「ごはんのいす」のことを、きっととても大事に使ってたんでしょうね。
旅立ちの季節に。
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